2021年04月13日
第43回日本顔面神経麻痺学会にて「末梢性顔面神経麻痺、完全脱神経型に対する鍼灸治療の効果-発症1年以内、14名-」について発表いたしました。
完全脱神経型顔面神経麻痺は後遺症の出現率が高く完治するのは難しいとされています。今回は初診時、発症1年以内の完全麻痺患者を対象に鍼灸治療の効果について検討しました。
2009年7月~2019年6月
末梢性顔面神経麻痺を主訴として来院した90名内、以下条件に当てはまる14名です。
柳原法は、顔面の表情10項目の動きに対して評価を行います。0.2.4の3段階評価で採点し、点数が低いほど症状が強いことを示しています。4点はほぼ正常、2点は部分麻痺、0点は高度麻痺に分類されます。術者以外の第三者が評価を行いました。36点以上を治癒とし、初診時と最大を40回とした治療最終時を比較しました。
①安静時非対称、②額のしわ寄せ、③軽い閉眼、④強い閉眼、⑤片目つぶり、⑥鼻翼を動かす、⑦頬を膨らます、⑧歯を剥く、⑨口笛、⑩口を曲げる」の10項目で表情筋の動きを診ていきます。評価は術者以外の第三者が行い、0・2・4の3段階評価で採点し、40点満点中36点以上を治癒と判定しています。柳原法の合計点数が低いほど症状が強いことを示し、顔面の表情の主要な部位に傾斜配点をすることで障害の程度や、病初期、途中経過等の麻痺の程度の評価や予後の予測判断として用います。(引用:顔面神経の手引き2011年版)
全身調整として随証治療により配穴しました。
局所治療として、鍼は、麻痺側顔面部に30ミリ18号の単回使用毫鍼を症状に合わせた8穴に刺鍼しました。
灸は、刺鍼穴と重複した3穴に、8分灸を3壮行いました。
治療頻度は週に1~2回程度としました。
14名中、最終38点以上は7名になりました。
34点以下は35.7%、36点は14.3%、38点以上は50.0%でした。
14名の中央値は初回7.0から最終37.0(40点満点)に変化しました。
①安静時非対称:初回1.4から最終4.0 ②額のしわ寄せ:初回0.7から最終3.1
③軽い閉眼 :初回0.1から最終3.9 ④強い閉眼 :初回0.7から最終4.0
⑤片目つぶり :初回0.0から最終3.6 ⑥鼻翼を動かす:初回0.3から最終3.3
⑦頬を膨らます:初回1.0から最終3.1 ⑧歯を剝く :初回0.4から最終3.4
⑨口笛 :初回0.9から最終3.4 ⑩口を曲げる :初回0.4から最終3.6
に変化しました。
14名中7点(治療満足度は10点法)を付けられた方が8.3%、8点を付けられた方が50%、9点を付けられた方が15.7%、10点を付けられた方が25.0%と非常に高い満足を得られています。今回完全治癒に至らなかった7名も鍼灸治療で症状が改善したことがうかがえます。
初診時、発症後30日以内の対象者6名が柳原法最終38点以上でした。また、全員に鍼灸治療開始後10回から15回に高い回復傾向が見られました。
鍼灸治療で病的共同運動軽減しました!
後遺症においては、対象者8人中8名とも後遺症の出現がないか、軽度でした。初診時の点数から、病的共同運動の後遺症が出現しやすいと考えますが、鍼灸治療により、1年後の後遺症が軽減することが示唆されました。
鍼灸治療により、完全麻痺患者14名中7名の対象者(50%)が完全治癒しました。未完治7名においても鍼灸治療に対する満足度も高く、柳原法の点数は有意に改善しており、悪化した症例はありません。
当院では、顔面神経麻痺を発症後数日からから何十年後と、幅広い期間でご来院いただいています。また発症から日にちが経過し、お顔の動きも点数的にもこれ以上良くならないと言われた方も、後遺症でお悩みの方も症状の改善を実感していただいております。
また、末梢性の顔面神経麻痺だけでなく、中枢性の顔面神経麻痺、原因不明など色々な種類の麻痺に対応させていただいています。
顔面神経麻痺を発症して、病院の治療も終え、症状があまり変わらないとお悩みの方!
何年経過しても鍼灸治療を継続して受けることにより、症状は改善されますので、ぜひお近くの鍼灸院へご相談下さい!!