脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、
脳血管障害による後遺症に効果を発揮します。
脳血管障害後遺症に対する
鍼灸治療
著者:粕谷大智(東京大学医学部リハビリテーション部鍼灸部門)
引用:鍼灸OSAKA2009年Vol.18
リハビリのみの治療と、リハビリ+鍼灸治療では、リハビリ+鍼灸治療をした方が有意に症状の改善が見られました。痙性片麻痺、肩手症候群、むくみ・排尿障害、痴呆や意欲低下等の脳血管障害後遺症に対して鍼灸治療の有効性が示唆され、脳血管障害後のQOL向上にも期待がもてる素晴らしい発表です。
脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、脳卒中)とは、脳の血管に何らかの障害が起こる事によって発病するいくつかの病気を総称したもので、脳卒中とも呼ばれ大きく2つに分けられます。
脳血管障害の症状として、片麻痺・半身の感覚が鈍い・半身の手足に力が入りにくい・言語障害頭痛・めまい・吐き気などが起こります。また発症後、片麻痺や言語障害などの後遺症が残ります。脳の障害を受けた部分により後遺症も異なります。三大成人病の1つであり高齢化に伴い増加しています。
脳血管障害の三大危険因子として、高血圧・高脂血症・糖尿病他に心臓病・喫煙などがあげられます。
治療は主に手術、投薬、保存療法が行われます。
脳梗塞、脳卒中、脳血管障害
脳出血、くも膜下出血、脳卒中
脳血管障害により障害された運動機能や言語などを回復させるために様々な訓練を行います。後遺症の程度は障害を受けた場所や程度により異なります。後遺症が定着してしまわないよう、廃用症候群予防のためにもリハビリテーションは早期に始める事が大切です。
などの症状に対しての機能回復訓練など
鍼灸治療をリハビリテーションと併行して行うことで、脳の循環の改善や麻痺した神経・筋を刺激し麻痺の回復、進行の防止を期待できます。東大医学部リハビリテーション部鍼灸部の報告でも、鍼灸治療を定期的に行うことで、良い結果が報告されていますのでご紹介します。
脳血管障害に対する鍼灸治療は、以前から脳血管障害後遺症におけるリハビリテーションを円滑に遂行する、あるいは運動器の疼痛や筋の過緊張といった阻害因子の除去手段として行われている事が多い。我々の施設では、片麻痺に対する上記の合併症以外に、排尿障害や浮腫に対する鍼灸治療も行っている。今回はそれら脳血管障害の後遺症に対する鍼灸治療に対して紹介する。
痙性の軽減を目的とした治療は、血流障害、疼痛域値の変化の回復が期待できる。(相反性神経支配を考慮に入れた治療を心がける。~中略~低周波刺激は拘縮を起こしている筋の過緊張を改善させる効果ある。)
鍼灸治療を週1回で1カ月ほど定期的に行うことで、自発痛やしびれ感の軽減が認められる。鍼灸の治療機序については、皮膚血流量の増加、自律神経機能(血管運動神経)の正常化による関節こう縮や、関節機能不全、組織委縮の改善が考えられる。
鍼灸治療は循環血漿量を介しての血圧調節にも有用であることを示唆している。(本態性高血圧と診断され、降圧剤を飲んでいない患者に、鍼灸治療を週2回の頻度で1カ月の頻度で行うと、降圧効果が認められた患者には尿量や尿中Na、カテコラミンの排泄増加が認められている。)
脳血管障害患者に対する鍼の作用機序については、脳血管の拡張や脳血流の増加による正常化が示され、こうした機序が多彩な症状に関与しているものと考える。
※参考資料:臨床医学各論第2版・リハビリテーション医学第3版・医道の日本vol67 NO.10
中医学では脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、脳卒中)のことを「中風」と呼んでいます。この病気は急に発症し、変化が早いところが風の性質と似ているので「中風」と呼ばれています。外邪が侵襲して起こる外風(真中風・真中)と外邪の侵襲を受けずに発病するものを内風(類中風・類風)と呼びます。また症状の程度(重・軽)、病位(深・浅)により3つ分けられます。
中医学では人間の体に変調を起す原因として外因・内因・不内外因が関係していると考えます。
中医学では五行論という考えがあり、それぞれの臓腑と関係の深い季節などがあります。
五臓 | 肝 | 心 | 脾 | 肺 | 腎 |
---|---|---|---|---|---|
五季 | 春 | 夏 | 土用 | 秋 | 冬 |
五感 | 風 | 熱(暑) | 湿 | 燥 | 寒 |
五主 | 筋 | 血脈 | 肌肉 | 皮毛 | 骨髄 |
風は物を動かすように、振戦やめまい・けいれん・麻痺・ひきつりが起こる(動風)などの症状が現れ、4つのタイプがあります。
肝は疏泄機能を主ります。疏泄とは身体に気・血・津液をすみずみまで巡らせる働きの事です。気・血・津液が巡ることで身体の生理機能が円滑に行われます。
また精神にも影響し、疏泄機能が働いていると気持ちも穏やかにのびのびとしています。激しい怒りや、ストレスなどにより肝の疏泄機能が低下すると、気が鬱結します。
気の鬱滞が長期間続くと気の流れが動きにくくなり熱を発生します。この状態が長期になると気の鬱滞が火(熱)と化し陽が亢進し肝火上炎になります。
また外邪(天候、暖房)や、胃熱の発生を促す事(辛いもの・酒の摂り過ぎ)により熱(火)が過剰に加わる事や、普段から体に熱が起こりやすい陽盛体質の人も熱(火)を発生しやすいです。
肝鬱気滞の人は火の影響を受けやすいため肝火上炎となります。身体の中の熱が極まると内風が発生します(熱極生風)。
ストーブなど火が燃えている上部の空気がゆらゆらと動いているのをイメージして下さい。熱は上に上りやすい性質を持っています。内風の症状として振戦・めまい・けいれん・麻痺・ひきつりが起こる(動風)などが現れます。いわゆる脳卒中の症状です。
また熱(火)は脈絡(血管)を損傷して出血しやすい状態になります。入浴や興奮によってのぼせ過ぎると鼻血がでるのも熱が血を動かす現象のひとつです。このタイプは出血性の脳血管障害が多いです。
人の身体には陰と陽があり、お互いに増えたり減ったりしながら均衡を保っています。
この場合は均衡を保てず陽が過剰になった状態です。
脳卒中になった原因(体質)を四診法により弁証し、分析を行います。四診法とは東洋医学での治療を行う際に使う診断方法です。診る・聞く・問う・触る、この4つ方法を用います。
清肝瀉火・鎮肝熄風
熱は上に昇りやすい性質で、上方向にどんどん突き上げられます。
また血も熱と一緒に上部(頭・顔)に充血し、色々な症状が現れます。
上部に充血している血を下に降ろし脳の血流を正常に戻すために、肝火を直接鎮静する清肝瀉火の治則で治療します。
また熱により発生した内風を抑制するために、興奮している交感神経(肝)を鎮静させます。
すなわち肝を抑制して内風を鎮めます。鎮肝熄風の治則で治療します。
これらの治療により、高まっていた肝の疏泄機能の亢進を抑制し、速くなっていた気・血・津液の流れを正常に戻します。
身体に気・血・津液がすみずみまでゆったりと巡ると、異常な熱の発生もしにくくなり、陰陽のバランスが整い、火(熱)の影響も受けにくくなります。
このように身体の中で異常に発生した肝熱と内風を取り除くことが、脳卒中の治療につながります。
ストレス、過労、飲食不節、加齢、慢性病、房事過多、熱性の薬物(抗生物質などの乱用)などにより、肝と腎の津液※が不足します。
また激しい怒り、ストレスが長期間続き、内熱が発生するとさらに津液を消耗します。津液の不足により、陽(熱)を抑制できなくなりますます津液が損傷して虚熱が起こります。その虚熱により動風が発生します。
空気の乾いている時(津液不足)は火事が起こりやすく(虚熱)火は燃えやすくなります。
このように体内で津液が不足すると乾燥し虚熱が起こるのです。
陽(熱)は上に上昇する性質を持つ為、身体の上部(頭、顔)を犯し脳卒中を引き起こします。
また脈は、細・数・弦になります。これは東洋医学の四診の1つで切診にあたります。
切診とはいわゆる触診という意味で、経脈(血流、血量などの状態を診る)を行います。細(さい)は血管が細い事を意味し、数(さく)は血液の速度が速い事を意味します。
また血管が緊張し収縮した状態の中を早い速度で血は流れるので、弦を打っているような弦脈になります。その為、陰虚によりもろくなった血管が、破れやすくなり出血症状を起こします。
このタイプは、出血性の、脳卒中を起こしやすいです。
東洋医学では人体を構成する物質を、気・血・津液と考えます。
気は陽に属し「陽気」と呼ばれ、血と津液は陰に属し「陰液」と呼ばれます。気・血・津液は相互に影響し合いながら身体の生理活動を円滑に行います。
構成物質 | 働き | 陰陽 |
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気(陽気) | 生命活動の根源・エネルギー | 陽 |
血(陰液) | 体に栄養、潤いを与える | 陰 |
津液(陰液) |
|
人の身体には陰と陽がありお互いに増えたり減ったりしながら均衡を保っています。
この場合は均衡を保てず陽が過剰になった状態です。
滋陰補腎・平肝潜陽
体内の余分な熱を冷ます作用のある津液が、不足している為陰陽のバランスが乱れ、陽が亢進します。
津液を補充し余分な熱を冷ます治療として、滋陰補腎の治療を行います。
肝腎の津液が体内を巡り行き渡ると、余分な熱(虚熱)が取り除かれ乾燥していた状態を防ぎます。
またストレスや陽の亢進により過剰に発生した熱(肝陽)を、抑制し下に引き下げる治療として平肝潜陽を行います。
肝陽が抑制され、上に昇りやすい熱を下に引き下げる事で過剰に亢進していた体内の陽(内熱)と上部の充血した状態の血管を正常にします。
2つの治療により血管壁が潤いを得て柔軟になります。また過剰な熱により早くなっていた血流も緩やかになります。
その結果血管への負担がなくなり、血管の出血を防ぎ出血性の脳卒中を予防します。
ストレス、過労、飲食不節、加齢、慢性病、房事過多、熱性の薬物(抗生物質などの乱用)などにより肝と腎の津液が不足します。
肝と腎の津液が不足すると陽(熱9を制御できなくなり過剰に亢進します。過剰に亢進した陽(熱)はさらに津液を消耗させるので悪循環になります。
例えば車のエンジンとラジエターの関係に置き換えてみましょう。
エンジン(陽)が過剰に熱を持たないようにラジエター(津液)はエンジンを制御しています。
しかし、ラジエターの水が不足しているとエンジンを制御出来ず、過剰な熱を持ちます。その過剰な熱を冷却する為にさらにラジエターの水を消耗します。
このように津液が不足します。
陽(熱)は上に上昇する性質を持つ為身体の上部(頭、顔)を犯し、脳卒中を引き起こします。
津液が不足すると、皮膚は乾燥するように細胞の組織自体も水分を失うので、もろくなり損傷しやすくなります。血管の壁を作る細胞も損傷が激しいと出血を起こしやすくなります。また血管壁が剥がれて血管につまりやすくなります。
このタイプは、出血・梗塞・虚血性の脳卒中を起こします。
肝は血を蔵し腎は精を蔵しています。
血が不足すると腎精を血に変えます。また反対に精が不足すると肝血を精にし、お互い補い合います。
この事を東洋医学では「肝腎同源」・「精血同源」と言います。
肝と腎はお互いに助け合い滋養しているので、どちらかの陰液が不足すると肝腎共に影響します。
人の身体には陰と陽がありお互いに増えたり減ったりしながら均衡を保っています。
この場合は均衡を保てず陰が不足になった状態です。
滋補肝腎
肝と腎の津液が不足し細胞組織が水分を失いもろくなります。その結果血管の細胞も損傷しやすくなります。
肝腎の津液を補い、陰陽のバランスを正常にして細胞組織の水分を補う滋補肝腎の治療を行います。
肝は血を蔵し、腎は精を蔵し、お互い助け合い滋養しているので両方補います。
肝腎の津液を補い過剰に亢進していた陽(内熱)を正常にします。
また体内の水分が補充され、乾燥を防ぎ血管組織を潤います。
水分不足によりもろくなっていた細胞組織、血管壁も強化されます。
その結果血管の出血、血管壁が剥がれて血管につまるのを防ぎ出血・梗塞・虚血性の脳卒中を防ぎます。
血は全身に栄養と潤いを与えます。血と関係のある臓器の一つに肝があります。
肝は「蔵血作用」と言って血を貯蔵する働きと、「疏泄作用」により各組織や器官に血を送る循環量の調節を行います。
慢性病、血の生成不足、出血過多などにより、血が不足して肝血不足となります。
血の不足により栄養不足になり、その結果めまいや脳貧血を起こします。
また「肝は筋を主る」とあり、筋肉の働きに関係します。筋肉の働きは肝血によって維持され、肝の血が充分であれば全身の筋肉の働きは良く、運動や労働が円滑に行われます。
慢性病、血の生成不足、出血過多で肝血が不足すると、頭眼や筋脈を滋養できなくなります。
その結果、手足のしびれ、筋肉のひきつり、けいれん、ふるえ、ぴくぴくするなどの症状が現れます。
内風の4大症状、「抽せん眩麻」つる、震え、めまい、しびれがあります。
身体の中に内風が起こっているわけではないのですが、症状が内風と似ている為血虚生風と言います。
「血虚生風は真風にあらざるなり」
滋補肝腎
滋補肝腎とは肝血と腎精を補います。
慢性病、血の生成不足、出血過多、などにより血が不足し、脳や筋肉を栄養できなくなるとめまいや脳貧血、筋肉のけいれんを起こします。そのため肝血を補います。
肝血を補う方法には、2種類あります。
1つは直接肝血を補います。肝血が充実すれば、症状は消失します。
2つ目は間接的に腎精を補います。腎精を補うと肝血は充実します。
これを東洋医学では「肝腎同源」・「精血同源」と言い、肝と腎はお互いを補う関係を意味します。
分かりやすく言うと、運動で筋肉を疲労させたり、PCで眼を酷使しすぎると肝血が不足します。
その肝血を補うために、腎精が肝血に変わり(変身して)肝血の役割を代行します。
すなわち、腎精・肝血のどちらかが不足しても肝腎共に影響します。
そのため肝血と腎精の両方を補います。
肝血が充実すると、蔵血、疏泄作用の働きを正常に戻し、各器官への血液の循環量を整えます。
脳や筋肉が栄養されると、脳貧血やめまいが改善され、円滑に運動を行う事ができ、筋肉のひきつり、しびれ、震えも治まります。
全身治療 |
1回 12,000円(毎回払い)
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効果は毎回確認できますが、10回受けていただくと実感できます。
年齢や個人の肌の状態により効果に差があります。
増毛コース | 10回券 70,000円(回数券制) ※加えて別途、全身治療代12,000円が毎回発生します。 ※1回のみお試ししていただけます。(1回8,000円+12,000円(全身治療分)) |
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5回コース | 40,000円(加えて別途、全身治療代12,000円が毎回発生します。) |
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10回コース | 70,000円(加えて別途、全身治療代12,000円が毎回発生します。) ※1回のみお試ししていただけます。(1回8,000円+12,000円(全身治療分)) |
梅花鍼 | 1回 10,000円(加えて別途、全身治療代12,000円が毎回発生します。) |
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振圧式梅花鍼(写真のように先が丸くなっているので安心です)で顔のつぼを刺激します。つぼに最適な圧力、スピードで刺激します。刺さなくても、充分効果が期待できます。頭面部の血流がより改善されます。
リハビリ治療だけされている方より、リハビリと鍼灸治療をされている患者様の方が効果があります。
筋肉のこわばり・片手症候群・むくみ・排尿障害など症状全般に効果があります。
東京大学医学部 リハビリテーション部 鍼灸部門 粕谷大智
脳血管障害後遺症の片麻痺は、歩行困難など日常生活動作の障害を来し、QOLを著しく低下させる合併症である。片麻痺にはリハビリテーションが必須であるが、筋肉の痙性(こわばり)や疼痛、しびれなどの各種愁訴はリハビリテーションの阻害因子であり、これら愁訴をいかに軽減、除去するかが重要な課題である。
痙性麻痺および拘縮の軽減
低周波刺激は、拘縮を起こしている筋の亢進している筋緊張を低下させる効果があり、また長く攣縮していたために筋線維に二次的に起こっている血流障害、閾値の変化の回復が期待できるなどの効果が挙げられる。ここで注意することは、筋緊張の亢進している筋群(上肢では屈筋群、下肢では下腿三頭筋)をさらに筋収縮させるような刺激を加えると、筋緊張をさらに高め、かえって典型的な拘縮を起こしてしまうことである。
肩手症候群は、手の疼痛と浮腫を主徴とした難治性の疼痛疾患であり、現代医学においても十分に確立された治療手段はない。片麻痺患者の愁訴の中でも、患側の肩痛の有訴率は40~70%であり、その原因としては肩手症候群、肩関節周囲炎、肩関節拘縮、頸肩腕症候群などが複雑に絡み合っていることが多い。この疼痛を軽減させ、リハビリテーションを円滑に行わせることが重要であるが、これらはむしろリハビリテーションの阻害因子の一つとなっている。我々は脳血管障害後遺症の片麻痺患者のうち、患者上肢に疼痛・腫脹・異常知覚などを呈し、肩手症候群と診断された症例に対し鍼灸治療を行い、それらの愁訴の軽減を認めることで、リハビリテーションの支援が可能となった経験がある。
鍼治療を週1回で1ヵ月程定期的に行うことで、自発痛やしびれ感の軽減が認められる。鍼灸の治効機序については皮膚血流量の増加、自律神経機能(血管運動神経)の正常化による関節拘縮や関節機能不全、組織萎縮の改善が考えられる。しかし、羅病年数が長い場合や、痛覚の低下、圧触覚の過敏など表在知覚の障害が認められる場合は、効果が得られにくいことも多く、有用性や有効性については今後の研究が期待されるところである。
浮腫の軽減や尿量を増やし、尿酸値のコントロールや尿中の尿酸濃度を低下させ、腎障害や尿路結石を予防する。
腎臓ではさまざまな物質が尿の生成を介して循環血漿量の調節を行っている。近年、本態性高血圧患者のPGE(プロスタグランディンE)の尿中排泄量が減少していることや、血圧の改善に伴ってドーパミンの排泄も増加していることなどが証明されている。本態性高血圧と診断され、降圧剤を服用していない患者に、鍼治療を週2回の頻度で1ヵ月間行うことで降圧効果が認められた患者において、尿量や尿中Na、カテコラミンの排泄増加が認められている。このことは、鍼灸治療は循環血漿量を介しての血圧調節にも有用であることを示唆している。
脳血管障害後遺症に対する鍼灸治療といえば、今までは片麻痺に対する治療がほとんどであった。しかし、脳血管障害後遺症患者は片麻痺の症状以外にも多くの症状を有している。そして、それら症状は脳血管障害後遺症患者のQOLを著しく低下させる。鍼灸治療が脳血管障害後遺症患者の訴える多くの愁訴のうち、多少なりとも軽減することが可能であれば、脳血管障害後遺症患者のQOL向上にも寄与できるものと考える。
引用:鍼灸OSAKA2009年Vol.18 No.3 P39-44