
2025年04月10日
1年経過しても残存する顔面神経麻痺症状と、後遺症に対して「顔面神経麻痺診療ガイドライン」の中で鍼治療が推奨され標準治療として、治療フローチャートに記載されています。
麻痺症状と後遺症が改善した2症例を経験しましたので報告します。うち1症例については頭痛も改善しています。
顔面神経麻痺と頭痛の評価については治療の初回と最終を各々比較検討しました。
顔面神経麻痺の評価として①柳原法、②FaCE Scale、③NRS、④Sunny brook法(FGS)の4種類の調査シートを用いました。(詳細は後述)頭痛の評価はVAS法を用いました。
お顔を10種類のポーズの筋肉の動きを評価して顔面神経麻痺の程度と改善を診ていきます。
①顔面運動、②目の感覚、③顔面感覚、④涙液分泌、⑤食事摂取、⑥社会行動
評価は患者様本人に評価してもらいます。
麻痺発症後6カ月以降に用いる評価方法です。
随意運動スコア…顔を動かした際の左右の対称性をみます。
安静時スコア…安静時の顔の左右の対称性をみます。
病的共同スコア…目と口が同時に動くなどの病的共同運動の程度をみます。
複合スコアは、(随意運動スコア)-(安静時スコア)-(病的共同スコア)で計算できます。満点は100点で、複合スコアの点数が高いほど後遺症の程度が低いとされています。
20代女性。右ラムゼイハント症候群による完全麻痺。麻痺発症後790日目で来院。
随伴症状として頭痛症状は17歳頃からあり、頭痛頻度は月経前・月経中に多発。
左軸はFaCE Scaleの75点法を表し、右軸はSunny brookの100点法を表しています。FaCE Scaleは初診時32点から施術35回目46点、Sunny brookは初診時41点から施術35回目84点と改善しました。頭痛の症状は消失しました。
症例1は柳原法、NRS(ワニの涙等の後遺症)の顕著な改善がみられました。(麻痺発症後790日)
左軸は柳原法40点を表し、右軸はNRSの10点法を表しています。柳原法は初診時20点から施術35回目30点、NRSの拘縮は初診時10点から施術35回目7点、ワニの涙は初診時5点から施術35回目3点、痙攣は初診時1点から施術35回目0点と改善しました。
60代男性 初診時麻痺発症後451日左完全顔面神経麻痺で来院。
X+1年1月、左完全顔面神経麻痺と診断されました。病院での柳原法6点。
症例2はFaCE Scale、Sunny brook顕著な改善がみられました。
FaCE Scaleは初診時37点から施術30回目55点、Sunny brookは初診時4点から施術30回目54点と改善しました。
症例2は 柳原法、NRS(ワニの涙等の後遺症)に改善がみられました。(麻痺発症後451日)
柳原法は初診時18点から施術30回目20点、NRSの拘縮は初診時10点から施術30回目9点、ワニの涙は初診時5点から施術30回目3点、痙攣は初診時0点から施術30回目0点と数字の改善がみられました。
2症例ともにFaCE ScaleとSunny brookは顕著な改善がみられ、満足度も高かったです。症例1は鍼灸治療により頭痛が改善しており、顔面神経麻痺による日常生活の苦痛も軽減したと考えます。
症例2からは、麻痺症状の改善を諦めないで鍼灸治療を受けてよかったとお声もいただいております。
陳旧性顔面神経麻痺の麻痺症状はほとんど改善することがないとされていますが、鍼灸治療によって患者のQOL・残存麻痺が改善されることが示唆されました。日本顔面神経学会「顔面神経麻痺診療ガイドライン2023」でも鍼灸治療は標準治療フローチャートに記載されています。



















