
2025年04月10日
顔面神経麻痺診療2023年ガイドラインで鍼治療が推奨されました。
顔面神経麻痺診療2023年ガイドラインの中で、顔面神経麻痺患者への治療として鍼治療が治療フローチャートに掲載されました。
今回、発症後1年以内の2症例に鍼灸治療により改善がみられたので報告します。
今回は、4つの項目を使って調査しました。
患者様本人に月1回自己評価をしてもらいます。
顔面運動、目の感覚、顔面感覚、涙液分泌、食事摂取、社会行動の6つの項目により構成されています。今回は、6分野別に評価比較しました。
施術者以外の第三者が、治療5回毎に評価します。
安静時の対称性(1項目)、随意運動の運動程度(9項目)の10項目を評価してもらい、その合計を比較しました。
患者様本人に治療5回毎に評価してもらいます。
ワニの涙(食事中に涙が出る)、拘縮(顔のひきつり感)、痙攣について
NRS(Numerical Rating Scale)0~10の11段階を用いて評価してもらい、各々の項目を比較しました。
患者様本人に治療5回毎に評価してもらいます。
0が「全く満足でない」、10が「非常に満足である」とし、麻痺に対する鍼灸治療の満足度を10点満点で評価してもらいました。
満足度は、5点以上を満足としました。
柳原法(40点満点)を用いた完全麻痺の基準は以下の通りです。
① 12点以上を不完全麻痺、10点以下を完全麻痺
② 20点以上軽症、18~12点中等度、10点以下を重症
※2023年版 顔面神経麻痺診療ガイドラインを引用しています。
X年1月11日に耳鼻科を受診し、右完全神経麻痺(ベル麻痺)と診断されました。
8日間のステロイド点滴もあまり改善はみられませんでした。麻痺発症14日後に当鍼灸院を受診しました。
東洋医学的所見として、初診時は足が黒く冷たい、舌下静脈怒張、舌暗紅などがみられました。弁証は、腎気虚としました。
X年11月上旬に病院を受診し、左顔面神経麻痺(ベル麻痺)と診断されました。
ステロイドを服薬しましたが、あまり改善はみられませんでした。発症2ヶ月後に当鍼灸院を受診しました。
東洋医学的所見として、初診時は臍部が黒い、舌下静脈怒張、胖大歯痕などがみられました。弁証は、脾腎気虚としました。
初診時から来院1年2ヶ月目(最終)までを比較しました。
症例1は、初診時59点から最終75点(満点)に改善しました。
症例2は、初診時39点から最終65点に改善しました。
FaCE Scaleを顔面運動・目の運動・顔面感覚・涙液分泌・食事摂取・社会行動の6分野に分け、初診時と最大を比較しました。
青軸を満点、オレンジ軸を初診時、緑軸を最終としました。
顔面運動が初診時4点から最終15点(満点)、食事摂取が初診時7点から最終10点(満点)と改善しました。
FaCE Scaleを顔面運動・目の運動・顔面感覚・涙液分泌・食事摂取・社会行動の6分野に分け、初診時と最終を比較しました。
青軸を満点、オレンジ軸を初診時、緑軸を最終としました。
全体的に改善がみられましたが、特に顔面運動が初診時7点から最終12点、社会行動が初回11点から最終20点(満点)に改善しました。
初診時から治療60回(最終)までを比較しました。
症例1は、初診時14点から最終40点(満点)に改善しました。
症例2は、初診時12点から最終34点に改善しました。
2症例ともに顕著な改善がみられました。
NRS(Numerical Rating Scale)0~10の11段階を用いて後遺症の程度を調査しました。
初診時から治療55回目(最終)までを比較しました。
初診時から最終までワニの涙・顔面拘縮・顔面痙攣はみられませんでした。
完全顔面神経麻痺と診断されていたので、病院では後遺症が出やすいと言われていましたが、出現しませんでした。
NRS(Numerical Rating Scale)0~10の11段階を用いて後遺症の程度を調査しました。
初診時から治療60回目(最終)までを比較しました。
初診時(発症2ヶ月後)で顔面痙攣がみられ、治療10回目(発症3ヶ月後)でワニの涙が強くみられたが、治療を重ねるごとに改善していき、最大では軽度になった。
初診時から治療45回(最終)までを比較しました。
2症例ともに8点以上で、満足度が高かった。
症例1の治療40回目で、治療頻度が落ちてしまったため、満足度が下がったのではないかと考える。
2症例ともに、病院で完全顔面神経麻痺と診断されたが、鍼灸治療により柳原法の顕著な改善がみられた。ワニの涙・顔面拘縮・顔面痙攣も軽度であった。症例1は、完治(最終柳原法40点、後遺症無し)。症例2は、柳原法34点であるが、後遺症は軽度であった。鍼灸治療が発症後1年以内の末梢性顔面神経麻痺や後遺症治療の選択肢の1つになる可能性が示唆された。
2症例ともに改善しているが、最終合計の点数に差がみられた。2症例の結果の違いは、発症後鍼灸来院時期の差が原因と考える。鍼灸治療時期は発症後早い方が望ましいと考える。






















