2019年07月08日
平成30年度日本東洋医学会関西支部例会にて「末梢性顔面神経麻痺に対する鍼灸治療の効果」について発表させていただきました。
今回は、完全脱神経型で、かつ発症1年以上の者を対象とし、柳原40点法の評価表を用い、診療録を後ろ向きに調査しました。
顔面神経は脳(中枢)からお顔(末梢)を支配している神経で、顔の表情を作る表情筋、音量を調節する耳の筋肉や、涙や唾液の分泌量の調節、舌前の2/3の味覚を主っています。ウィルス感染や、圧迫など、何らかの理由により障害されることで、これらを動かす筋肉が麻痺してしまい、動かなくなる状態をいいます。また、顔面神経麻痺は障害の部位により、中枢性と末梢性の2つに分類されます。
中枢性麻痺顔面神経麻痺は、脳の障害による麻痺をいい、脳血管障害や外傷などにより起こます。
末梢性顔面神経は脳から出た末梢の神経が障害されて起こります。
末梢性にはBell麻痺、Hunt症候群などがあり、今回は末梢性顔面神経麻痺の中でも、さらに難治性といわれる、完全脱神経型、かつ発症1年以上の者について検討しました。
(引用:顔面神経の手引き2011年版、当院HP)
柳原法では、「①安静時非対称、②額のしわ寄せ、③軽い閉眼、④強い閉眼、⑤片目つぶり、⑥鼻翼を動かす、⑦頬を膨らます、⑧歯を剥く、⑨口笛、⑩口を曲げる」の10項目で表情筋の動きを診ていきます。
評価は術者以外の第三者が行い、0・2・4の3段階評価で採点し、40点満点中36点以上を治癒と判定しています。柳原法の合計点数が低いほど症状が強いことを示し、顔面の表情の主要な部位に傾斜配点をすることで障害の程度や、病初期、途中経過等の麻痺の程度の評価や予後の予測判断として用います。
(引用:顔面神経の手引き2011年版)
顔面神経麻痺発症の経過日数と、初診来院時の柳原法の点数を組合わせたものになります。
(引用:顔面神経麻痺のリハビリテーション)
2009年7月から2018年7月までに顔面神経麻痺を主訴として来院された方、
完全脱神経型と判断されたのは8名でした。
初診時と最終(最大40回)を比較しました。
結果、中央値が初回9.0から最終29.0へと改善し、有意差がみられました。
柳原法10項目全てにおいて有意差がみられました。これは、麻痺側の表情筋の動きが初回の鍼灸療前より良くなっていることを示しています。
発症1年以上の方でも鍼灸治療を行うことで8名全員に、柳原法の点数によい変化がみられています。
顔面神経麻痺の88.3%の方が、鍼灸治療を満足と答えています!
満足度は100点満点中70点以上を満足としています。
とても高い治療満足度を得られています。
病院で、これ以上は症状の改善は見込めないと言われた患者様も、発症から1年以上経過し当院にご来院いただきました。
初回は患側の瞼が閉じず隙間が開いていますが、10回ではしっかり閉じることが出来、目の横のシワもできています!
またお口も患側側はイーと口角を上げることが出来ず動きは見られませんが、5回10回と鍼灸治療をしていくことで、左右がより対照的になっています。
当院では、顔面神経麻痺を発症後数日からから何十年後と、幅広い期間でご来院いただいています。また発症から日にちが経過し、お顔の動きも点数的にもこれ以上良くならないと言われた方も、後遺症でお悩みの方も症状の改善を実感していただいております。
また、末梢性の顔面神経麻痺だけでなく、中枢性の顔面神経麻痺、原因不明など色々な種類の麻痺に対応させていただいています。
顔面神経麻痺を発症して、病院の治療も終え、症状があまり変わらないとお悩みの方!
何年経過しても鍼灸治療を継続して受けることにより症状は改善されますので、ぜひお近くの鍼灸院へ!!