末梢性顔面神経麻痺、完全脱神経型に対する鍼灸治療の効果 ―発症1年以内16名―|顔面神経麻痺,2019年 日本東洋医学会学術総会|学会発表|大阪市天王寺区のまり鍼灸院

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学会発表

2020年01月20日

末梢性顔面神経麻痺、完全脱神経型に対する鍼灸治療の効果 ―発症1年以内16名―

第70回日本東洋医学会学術総会にて「末梢性顔面神経麻痺、完全脱神経型に対する鍼灸治療の効果」について発表させていただきました。
対象者16名中6名が完治し、柳原40点法では10項目全てにおいて有意な改善がみられました!!

完全脱神経型の対象者は16名!(方法1)

2009年7月から2018年11月までに顔面神経麻痺を主訴として来院された方、

  • 顔面神経麻痺発症から1年以内の者
  • 柳原40点法の評価が取れている者
  • 治療回数が5回以上の者
  • Bell麻痺、Hunt症候群の者
  • 完全脱神経型と判断される者を対象としました。

完全脱神経型と判断されたのは16名で、平均年齢は39.2±6.8歳でした。

柳原法の中央値が初回8.0点から最終30.9点に!!(結果1)

中央値が初回8.0から最終30.9へと改善し、有意差がみられました。これは、初回8点だった者が、最終30点まで回復したことを表しています(中央値)

柳原法10項目全てにおいて有意な改善がみられました!!(結果2・3)

柳原法10項目全てにおいて有意差がみられました。これは、麻痺側の表情筋の動きが初回の鍼灸療前より良くなっていることを示しています。

16名中8名が治癒しました!(顔面神経麻痺学会の評価基準) (結果4)

難治性といわれている完全脱神経型の顔面神経麻痺の方が、鍼灸治療を受けて50%も治癒したことはとても凄いことです!!

回復傾向に違いが見られています。(結果5・6)

発症後早く治療を開始した方が、回復も早い傾向がみられました。

治療満足度100%!!!(結果7)

顔面神経麻痺の100%の方が満足と答えています!症状の変化、改善を実感していただき、治癒までいかなかった方も、顔面神経麻痺に対する鍼灸治療に満足とお答えいただきました!!

病院で治らないと言われた方も!!(症例)

初回6点から最終40点に改善しました!
左右非対称だった症状が治療を重ねることで左右対照になりました。

顔面神経麻痺とは

顔面神経は脳(中枢) からお顔(末梢) を支配している神経で、顔の表情を作る表情筋、音量を調節する耳の筋肉や、涙や唾液の分泌量の調節、舌前の2/3の味覚を主っています。ウィルス感染や、圧迫など、何らかの理由により障害されることで、これらを動かす筋肉が麻痺してしまい、動かなくなる状態をいいます。また、顔面神経麻痺は障害の部位により、中枢性と末梢性の2つに分類されます。

中枢性麻痺顔面神経麻痺は、脳の障害による麻痺をいい、脳血管障害や外傷などにより起こます。
末梢性顔面神経は脳から出た末梢の神経が障害されて起こります。

末梢性にはBell麻痺、Hunt症候群などがあり、今回は末梢性顔面神経麻痺の中でも、さらに難治性といわれる、完全脱神経型、かつ発症1年以上の者について検討しました。(引用:顔面神経の手引き2011年版、当院HP)

柳原40点法(柳原法)とは(柳原法評価方法)

柳原法では、「①安静時非対称、②額のしわ寄せ、③軽い閉眼、④強い閉眼、⑤片目つぶり、⑥鼻翼を動かす、⑦頬を膨らます、⑧歯を剥く、⑨口笛、⑩口を曲げる」の10項目で表情筋の動きを診ていきます。

評価は術者以外の第三者が行い、0・2・4の3段階評価で採点し、40点満点中36点以上を治癒と判定しています。柳原法の合計点数が低いほど症状が強いことを示し、顔面の表情の主要な部位に傾斜配点をすることで障害の程度や、病初期、途中経過等の麻痺の程度の評価や予後の予測判断として用います。

(引用:顔面神経の手引き2011年版)

末梢性顔面神経完全麻痺の評価基準(方法4)

顔面神経麻痺発症の経過日数と、初診来院時の柳原法の点数を組み合わせたものになります。

完全神経麻痺の基準(柳原40点法)

  • 発症後3週以上4週未満、40点中8点以下
  • 発症後4週以上5ヵ月未満、40点中10点以下
  • 発症後5ヵ月以上12ヵ月未満、40点中20点以下

(引用:顔面神経麻痺のリハビリテーション)

評価方法(方法2)

柳原40点法を用いて、術者以外の第三者が評価を行いました。36点以上を治癒とし、初診時と最大を40回とした治療最終時を比較しました。

調査内容(方法3)

1.柳原法の合計得点の変化、2.柳原法の項目別変化(10項目)、3.治療満足度

まとめ

当院では、顔面神経麻痺を発症後数日からから何十年後と、幅広い期間でご来院いただいています。また発症から日にちが経過し、お顔の動きも点数的にもこれ以上良くならないと言われた方も、後遺症でお悩みの方も症状の改善を実感していただいております。

また、末梢性の顔面神経麻痺だけでなく、中枢性の顔面神経麻痺、原因不明など色々な種類の麻痺に対応させていただいています。

顔面神経麻痺を発症して、病院の治療も終え、症状があまり変わらないとお悩みの方!
何年経過しても鍼灸治療を継続して受けることにより、症状は改善されますので、ぜひお近くの鍼灸院へご相談下さい!!