2018年01月12日
小児鍼の治療ポイントと症例
小児鍼が「夜泣き」「疳虫」「アレルギー」等によく効くことは周知の事実である。しかし、小児鍼を臨床に取り入れている鍼灸院は少ない。来院された保護者からも小児鍼を取り入れている鍼灸院を探すのに苦労したとよく聞く。その理由として、①治療するポイントがわからない ②その日の治療効果がわかりにくい ③保護者の説得の仕方がわからない、等が挙げられる。
また、小児鍼の効果について、我々は第61回全日本鍼灸学会学術大会(三重大会)にて、小児はり学会認定の『小児鍼問診票』を用いて、4回の治療効果を報告した。小児鍼により、「夜泣き」「疳虫」の症状スコアが有意に改善し、治療満足度も高いといった内容である。
今回は、小児鍼の治療ポイントと診察のポイントを写真を使って説明する。
①治療のポイント:治療内容・治療回数
②診察のポイント:治療前の診察のポイントと小児鍼治療後の変化のポイント。診察と変化の情報を保護者と共有することで、保護者への説得が容易になる。
また、小児鍼のビジュアル効果として、アトピー性皮膚炎の治療効果を2症例紹介する。
本治法(弁証配穴)として全身調整に用いる。
特定の経穴(隠白・少商等)や皮膚の湿っている部分・冷えている部分に用いる。火のついた線香を暖かく感じる距離まで近づける。
3歳くらいから、治療中じっとしていられる子供に限り灸点紙を用いて施灸する。
皮膚の緊張の調節、アトピーの湿疹部位
吸玉施術
神闕穴に用いる。
アレルギー疾患が主訴の小児には必ず加える治療免疫を正常な状態に近づける効果があると言われている。
2週に1~2回(激しい夜泣きがある場合は、1週に2回治療する事もある)
小児鍼の治療継続には、その保護者に治療効果を実感してもらうことが必須である。そのため、初診時治療前に、皮膚の色・乾燥・緊張・爪の色等を一緒に確認して、治療後にその変化や効果を確認してもらう。日焼けで黒いと思っていた皮膚が、初回の治療後には血流改善によってピンク色の白い皮膚になったり、蒙古斑が薄くなったり消えたりして、感動の声がよく聞かれる。ここで部位別の診察のポイントを紹介する。
眉間(B)の青筋はもちろん、前額部(A)の皮膚の色もチェックする。頬の部分と比べると、浅黒かったり青かったりする。1回の施術で改善するが、数日で元に戻るということと、徐々に体質を変えていくことを説明する。
額・眉間
腹部
A:関連臓腑は心・肺
B:関連臓腑は脾・肝
C:関連臓腑は腎
小児鍼は、1回の治療でその効果を即時に診察のポイントで確認できる。また、4回の治療で症状が大きく改善し、その満足度も高い。これらより、小児鍼は鍼灸の効果を実感しやすいカテゴリーと言える。当院でも、小児の治療から、その患者の両親や祖父母まで長期通院するケースも多い。
つまり、小児鍼は今後の鍼灸市場拡大のキーカテゴリーと言える。今回の治療のポイント・診察のポイントが、読者先生方の日々の臨床に少しでも参考になれば幸いです。
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