小児鍼灸によるカンムシ・睡眠の効果検討|第73回全日本鍼灸学会|学会発表|大阪市天王寺区のまり鍼灸院

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学会発表

2023年08月16日

小児鍼灸によるカンムシ・睡眠の効果検討

目的

第48回日本東洋小児学会学術集会で『カンムシ』症状と『睡眠』症状を併せ持つ小児患者が鍼灸治療で改善したと報告しました。今回は、『カンムシ』症状の小項目である「キーキー声を出す(以下キーキーと表記)」症状と『睡眠』症状を併せ持つ者を後ろ向きに調査し、小児鍼灸の効果を検討しました。

対象期間

2018年10月から2022年12月

対象者

上記の期間に当院へ来院した小児のうち、初診時に『カンムシ』症状の「キーキー」症状と『睡眠』症状を併せ持つ13名(男児5名、女児8名、平均年齢2.1±2.6歳)です。

調査内容

『カンムシ』『睡眠』症状の大項目・小項目あわせて以下の11項目で調査しました。

  • 大項目の
    「気になる程度」(2項目)→ ①カンムシ ②睡眠
  • 小項目の
    「症状の程度」(4項目) → ③キーキー ④夜泣き ⑤寝付き ⑥途中覚醒
    「週の日数」(2項目)  → ⑦キーキー ⑧夜泣き
    「1日の回数」(3項目)  → ⑨キーキー ⑩夜泣き ⑪途中覚醒

調査票

日本小児はり学会認定の「小児はり問診票」を用いました。

評価方法

  • 評価時期は、初診時と5診目治療前としました(以下、初診・5回と表記)。
  • 評価者は保護者で、初診・5回の評価時点の数値を、各々中央値にて比較検討しました。
  • 大項目の「気になる程度」は、「0から4の5件法」にて評価してもらいました。
  • 小項目について、「症状の程度」は「NRS(Numerical Rating Scale)」を用いて「0から10の11段階評価」で評価してもらいました。
  • 「週の日数」と「1日の回数」は、その「回数」で評価してもらいました。

鍼灸治療

  • 「本治法」として随症治療を行い、刺さない鍼である鍉鍼を使用しました。
    中医弁証による配穴法を用いて経穴を治療しました。
  • 「標治法」では、大師流小児はり・線香灸・電気温灸器を使用しました。
  • 治療頻度は1~2週に1回程度としました。

結果1 大項目の中央値は改善し、有意差もみられました!

大項目の「気になる程度」

①カンムシ:初診3から5回1   ②睡眠:初診3から5回1

→とりわけ「カンムシ」については、初診と5回を比較すると、四分位範囲の25パーセンタイルから75パーセンタイルのばらつきが軽減されていました。

結果2・3・4 小項目の中央値はいずれも改善し、有意差もみられました!

小項目の「症状の程度NRS」

③キーキー:初診5から5回3  ④夜泣き :初診6から5回3
⑤寝付き :初診7から5回2  ⑥途中覚醒:初診6から5回3.5

小項目の「週の日数」

⑦キーキー:初診7から5回3  ⑧夜泣き :初診7から5回3.5

小項目の「1日の回数」

⑨キーキー:初診5から5回3  ⑩夜泣き :初診2.5から5回0.5
⑪途中覚醒:初診5から5回2

まとめ

①「キーキー」症状と「夜泣き」症状の1週間あたりの回数は、小児鍼灸治療によって有意に改善しました。

②「カンムシ」「キーキー」「夜泣き」「寝付き」「途中覚醒」の各症状については、4回の小児鍼灸治療で有意に改善しました。

③小児の鍼灸治療の効果が実感できます。

今回の分析より、小児鍼灸は「夜泣き」「寝付き」「途中覚醒」「キーキー」症状の改善に効果があると実感できました。