2023年08月16日
2023年6月3日(土)第73回全日本鍼灸学会にて「ニキビ治療による鍼灸の効果」について発表しました。
鍼刺激により血流が改善し頭顔面部の疾患や美容に寄与する可能性が考えられると報告があります。(明治国際医療大学の山崎翼ら)
今回、鍼灸治療に頭顔面部の血流改善が、ニキビ等(顔面部のお肌の悩み)に対して及ぼす効果について検討するために、悩みを有する患者のカルタを後ろ向きに調査しました。
2006年~2021年2月
当院作成の美顔問診票に、初診時に悩みを1以上示し、治療を10回以上受けた女性81人。
平均年齢:37.0歳±9.3歳。
今回の調査項目は下記の①~③です。
① ニキビ部位別(おでこ、頬、鼻、鼻周り、顎)
② ニキビ部位別合計
③ 赤み、油浮き、毛穴の部位別合計
評価基準:各調査項目の気になる程度を0~4の5件法にて評価しました。数字が大きいほど悩み度は高くなります。
気になる程度の0~4の5件法にて評価しました。数字が大きいほど悩み度は高くなります。
評価時期:初診時と施術10回目(以下施術後と表記)です。
評価判定:初診時と施術後を中央値にて比較検討しました。
全身治療調整は中医弁証論を用いました。
使用した鍼は長さ30㎜直径0.18mmの単回使用豪鍼を16本使用しました。
治療頻度は1週間に1回程度です。
顔面部の経穴はその日の患者様の気になる部分によって選択しました。
使用した鍼は長さ30mm直径0.18mmの単回使用豪鍼を16本使用しました。
低周波は1Hz~2Hz程度で8分間。強さはご本人が気持ち良いと感じる程度です。
(低周波の強すぎる刺激は血流改善の持続時間が短くなります。気持ち良いと感じる優しい刺激の方が血流改善の時間が長く持続されることが報告されています。)
初診時と施術後を比較して、ニキビ部位別(おでこ・頬・鼻・鼻周り・顎)の中央値の改善がみられました。
おでこ・頬・顎については有意差もみられました。
初診時と施術後を比較して、ニキビ部位別合計の中央値の改善と有意差もみられました。
初診時と施術後を比較して、赤み・油浮き・毛穴合計の中央値の改善とすべて有意差がみられました。
ニキビ(おでこ・頬・顎)・ニキビ合計と赤み、油浮き、毛穴は中央値の数値も改善され、有意差がみられました。
ニキビ(鼻・鼻周り)に中央値は改善しましたが、有意者みられませんでした。理由として①初診時の気になる程度の数値が低い方が多かった。②初診時はニキビ以外の主訴で来院された方が多かったことが考えられます。
鍼灸治療によってニキビ、赤み、油浮き、毛穴が改善することが示唆されました。鍼刺激によって頭顔面部の血流が改善された報告と同様の結果が得られました。